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2006/04/30

丸かじり

池波正太郎の『鬼平』や『剣客商売』などの解説文で、常盤新平氏はよくこう書いている。 五月の連休や年末などに疲れが出て鬱屈したときに、よく『鬼平』『剣客商売』『梅安』を開いて過ごすと。 これは有名な話だろうな。 池波本は自室外に纏めて並べてあるので、取りに行くのさえ億劫なときどうするか。 今、座している所から約70cmほどに並んだ、東海林さだおの『丸かじりシリーズ』に手を伸ばす。 緑の背表紙のどれを取ってもよい。 どの項目から読んでも良い。 池波本と同じで、既読であろうが何度でも楽しめる。 そして優しい。 まるで、おじやのような本だ。 本当に、助かる。 本当に、助かるのだ。  

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2006/04/16

画文

画文集が好きだ。 これはもう、妹尾河童さんに刷り込まれたとしかいいようが無い。 昭和58年('83年:当時中学生)初刷の新潮文庫の『河童が覗いたヨーロッパ』 のカバーはボロボロで、舐(ねぶ)るように読んだ小口は真っ黒だ。 硬質美術方面への興味一杯だった自分には、こんなにもフリーハンドなのに精密ながら抜けているようなイラスト、超日本人的な視点で味のある日本語を良い感じに手書きした本があったのかという衝撃を受けたのだ。 ウチの家族は自分を除いてみな字が上手く(祖母は書道の先生)、その劣等感(コムプレックス)から小学校生活の楽しい行事を振り返る卒業文集に、『私は字が汚い』という題で"生まれて御免なさい的"な文章を載せたくらいだ。 これまで読んだことがない、著者本人の生の"字"を地文にしての画文集だ。 高校入学までに、ほぼ河童さんの字(止め、払いなど)を手本に今の自分の文字が完成した。 幼少期から安野光雅画伯の絵の影響で欧羅巴の風景に馴染んでいたのも大きいから、『河童が覗いたヨーロッパ』というまるで異国の考現学の魅力に惹きこまれたのだろう。 今でもページを繰ると舐るように読んでしまう。 画文集の読み方の定型なのだろう。 以降、河童教の宗門に下る。

文春文庫の『河童が覗いた「仕事場」』で、自分の知る・敬愛する著名人の仕事場を覗き見る嗜好は潜在的にあったのだと確信。 『本棚・拝見 ~書斎に見る、知性のプロファイル~』(アスペクト編集部編/ビジネス・アスキー刊)が蔵書にあったのも頷ける。 そんな自分のまさしく欲していた本が発行される。 『書斎曼荼羅 - 本と闘う人々 1』 『2』(東京創元社)だ。 磯田和一氏の、河童さんの確立した俯瞰図とは趣きの異なる、いろんなアングルからの小説家達の書斎の風景に魅了された。 特に1巻は、取材対象となった作家がみな自分のお気に入りだったので、ラフに色彩されたイラストを眺めて至福のときを過ごした。 本文が活字ではあるが、イラストには細かい磯田チェックが本人の字で書き込まれてアクセントになっている。 先年、上田市にある池波正太郎記念館を訪れた際、池波翁の仕事場を再現し隣に彩色画図説明しているコーナーがあり、矯正視力0.8ながら数メートル前から磯田和一氏の絵だ!と叫んで館内に響き同行者に顰蹙を買ったほどだ。 あくまで対象のディテールに引きずられながらの下手ウマ絵はクセになる。

で、そんな長い前フリを置いておいて、モリナガ・ヨウ氏である。 冬の終わりからプラモデルへの興味が再燃し、「田宮模型歴史研究室」 という素晴らしいサイト(是非とも全てのページを閲覧して欲しい)を発端に、ミリタリー模型に興味が移っての、モリナガ・ヨウ氏である。 ジブリ映画なんか屁であるといわんばかりの『宮崎駿の雑想ノート』 『泥まみれの虎 宮崎駿の妄想ノート』 (これらも漫画ではあるが画文集の範疇に含めたい)を発刊している大日本絵画出版の『35分の1スケールの迷宮物語』に出会ってしまったのだ。 画文集(それも字も絵もいっぱいの)好きでガンプラ以前の似非模型少年であった自分にとって、たまらなく楽しい本なのだ。 月刊モデルグラフィックという雑誌に見開き2ページほどで連載されていたものらしいが、"35分の1"というように戦車模型について絵書かれた本だ。 模型少年モリナガ・ヨウ氏も青年になってからは一旦は模型を卒業しイラストレーターとして活躍していたものの、隔月刊アーマーモデリングに掲載された記事を見て感想・質問の手紙を画文にして送ったところ、モデルグラフィック誌の土居雅博編集長(「田宮模型歴史研究室」に度々登場)から連載依頼がきてさぁ大変。  宮崎駿に命名された編集マン吉祥寺怪人(きっしょうじ かいと:押井守映画『立喰師列伝』にも登場)と、二人三脚で、1/35戦車模型とモリナガ氏自身の両方の埋もれていた歴史を最高の画文で振り返るという、唯一にして無二の本に仕上がっている奇跡の書である。 ・・・そう、僕にとっては。

ながながと熱く語ってしまったが、これほど主観的な思い入れでベストと言い切ってしまえる本は少ない。 ほぼ一ヶ月近くかかって隅から隅まで読了した。 これまで書いた上の文章が鬱陶しい。 ただただ、楽しい本なのだ。 写真は表紙カバー絵だ。

Morinaga

 

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2006/04/10

手塚

週末にかけて、ふとしたことから大友克洋作品(初期短編集)を見てから、大友が影響を受けたメビウス(ジャン・ジロー)のサイトを巡り、中学生時の映像エポック『TRON』DVDを借りて観て、メビウスの『メトロポリス』にたいする発言を見つけて『メトロポリス』を途中まで見てその映像情報量に疲れ、『BSマンガ夜話~手塚治虫特集~(三夜連続 '02.4.1~'02.4.3)』をお気楽に眺め、三夜目の題材『ブラックジャック』で、書棚の奥深くにしまわれていた「秋田書店・愛蔵版」を取り出し読み進めて、自分が稼いでいた時代が終わって14巻目以降を追っていないことを知り、絵の小っちゃい文庫版の残りの巻を、3・4月の文庫新刊本とともにAmazonで注文し、とりあえず、文庫版ながら全部揃えてある『火の鳥』を読み返し始めています。

あ~、なんつーか、興味意識が極端に細かく飛ぶのは、なんかの症状なのでしょうね。

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2006/04/02

オークションほか

Yahoo!のオークションを時々利用する。 っていっても年に数回ぐらいだが。 主に雑誌やムック本。 普通の本と違って、古書サイトなどでも既に取り扱っていないモノが急に読みたくなったりする時に便利だ。 希少本だと時には吃驚するくらい高値がついているモノがあるけど、雑誌などは個人が本棚整理蔵書処分で放出するものが殆どなので、意外に廉価で手に入る。 しかし、今週落札できたムック本は凄かった。 というか、破格だった。 普通単品で出品されるだろうモノが、関連モノと併せて、計11冊(+おまけ3冊)で当時の定価ならば合計19,200円(おまけ除く)のものを、なんと2,000円で落札できた。 それも新品同様。  信じられない。 メールで出品者とやりとりしてみると、どうも近々引越しにつき雑誌類をほぼみな処分するらしく、単品で出品すると入金確認やら梱包発送やらで手間がかかるのでジャンルごとに一気に処分したのだそうだ。 「そうか、4月だものなぁ」としみじみ思い、またとない好機が到来した偶然に感謝しつつ、喫煙者の自分の保管状況とはほど遠い美品である冊子を眺めながら週末を過ごす。 理系出身とはいっても機械やメカ音痴で根っから文系なんで。 しかしまぁ、久々に安い買い物をしたもんだ。 ネットって便利ね。

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